A STORY BY FUYUNO YUI

信長の野望
本能寺は変

〜泣き虫チキンな第六天魔王〜

戦国一のビビリが、
無双するたびに号泣している。

ジャンル
歴史・戦国コメディ × 感動長編

あらすじ

織田信長は、戦国一の臆病者だった。

物心ついた頃から「いつ暗殺されるか」と怯え、虫一匹殺せない優しい子供だった。だが恐怖から逃げなかった──逃げられなかった。襲われても生き延びられるように、と狂ったように身体を鍛え抜いた。

恐怖が極限に達したとき、彼の中で何かが切り替わる。全身が冷や汗で濡れ、視界が白み、失神寸前になったその瞬間──生存スイッチが入る。人格は反転し、彼は何も恐れぬ狂戦士となって、敵を一人残らず薙ぎ倒す。そして正気に戻れば、積み上がった死体の山の前で、声を上げて泣く。「殺すつもりなんてなかった」と。

その涙を、返り血を、叫びながら無双する姿を、家臣たちは「魔王の怒り」と誤解した。こうして、恐怖のカリスマ=第六天魔王・織田信長が誕生する。

暗殺者を遠ざけたくて買い集めた鉄砲は日本一のコレクションになり、銃弾を防ぐ南蛮胴欲しさの南蛮かぶれは「新時代の天才」と讃えられた。弱さと優しさと保身癖は、桶狭間で、美濃で、上洛で、比叡山で、ことごとく伝説へと誤訳され、彼は望まぬまま天下の階段を駆け上がってしまう。

人を斬るたびに泣き、罪悪感を積み上げながら──ただ、帰蝶と田舎で静かに畑を耕したいだけだったのに。

これは、戦国一のビビリが「ただの優しい人間」に戻りたくてもがく、笑って泣ける戦国物語。

CONTENTS

目次

序章是非に及ばず

  1. 第1話炎の中で読む
  2. 第2話是非に及ばず読む

第1章うつけと筋肉

  1. 第3話うつけと呼ばれて読む
  2. 第4話サトイモと筋肉読む
  3. 第5話相撲は最強の研究読む
  4. 第6話女が、怖い読む
  5. 第7話天魔のごとし読む
  6. 第8話本当の願い読む

第2章契約の婚礼

  1. 第9話人質の子読む
  2. 第10話筋肉は裏切らない読む
  3. 第11話蝮の娘が来る読む
  4. 第12話契約の初夜読む
  5. 第13話気丈な御台読む
  6. 第14話魔王の子だくさん読む
  7. 第15話演じる二人読む

第3章灰と、諫死

  1. 第16話父が、逝く読む
  2. 第17話人の海読む
  3. 第18話抹香読む
  4. 第19話ただ一人、案じる人読む
  5. 第20話諫死読む
  6. 第21話魔王の涙読む
  7. 第22話政秀寺読む

第4章身内の刃

  1. 第23話弟という名の影読む
  2. 第24話稲生へ読む
  3. 第25話白む視界読む
  4. 第26話母の願い読む
  5. 第27話二度目の刃読む
  6. 第28話非情の魔王読む

第5章桶狭間

  1. 第29話二万五千読む
  2. 第30話人間五十年読む
  3. 第31話豪雨読む
  4. 第32話逃げ場はなかった読む
  5. 第33話目を覚ました何か読む
  6. 第34話義元の首読む
  7. 第35話第六天魔王読む
  8. 第36話帰る場所読む

第6章ハゲネズミ参上

  1. 第37話奇妙な猿読む
  2. 第38話草履の温もり読む
  3. 第39話見抜かれた読む
  4. 第40話藤吉郎だけは、味方だ読む
  5. 第41話墨俣の砦読む
  6. 第42話猿とハゲネズミ読む
  7. 第43話二人目の味方読む

第7章天下布武

  1. 第44話美濃を獲ってしまった読む
  2. 第45話岐阜と名づけよ読む
  3. 第46話天下布武読む
  4. 第47話南蛮の胴読む
  5. 第48話律儀な男読む
  6. 第49話重い役目読む
  7. 第50話望まぬ高みへ読む

第8章退き口

  1. 第51話義弟読む
  2. 第52話越前へ読む
  3. 第53話小豆の袋読む
  4. 第54話退き口読む
  5. 第55話殿読む
  6. 第56話神算鬼謀読む
  7. 第57話姉川読む

第9章叡山炎上

  1. 第58話焼くな、と俺は言った読む
  2. 第59話中立でいてくれ読む
  3. 第60話追い詰められて読む
  4. 第61話山に入る読む
  5. 第62話覚えていない読む
  6. 第63話焼け野原読む
  7. 第64話普通の人間に読む
  8. 第65話魔王の業読む

第10章鳴かぬ世

  1. 第66話望まぬ天下読む
  2. 第67話鉄砲が、欲しい読む
  3. 第68話三河の友が、負けた読む
  4. 第69話しかみ像読む
  5. 第70話そこからが本番だ読む
  6. 第71話腹が、痛い読む
  7. 第72話出して、下がれ読む
  8. 第73話戦術革命読む
  9. 第74話降りたい読む

第11章安土の天主

  1. 第75話天にいちばん近い城読む
  2. 第76話金の天主読む
  3. 第77話誰も、ここまで来ない読む
  4. 第78話武田が、滅んだ読む
  5. 第79話楽になんて、ならない読む
  6. 第80話いなくなっても、誰も気づかない読む
  7. 第81話まっさきに、帰蝶へ読む
  8. 第82話ひとりでは、できない読む
  9. 第83話降りたい者どうし読む

第12章本能寺は変

  1. 第84話その日が、来る読む
  2. 第85話光秀。儂を、裏切ってくれ読む
  3. 第86話私も、もう、限界でした読む
  4. 第87話二条城の段取り読む
  5. 第88話家康の、名演技読む
  6. 第89話その夜が、来た読む
  7. 第90話是非に及ばず読む
  8. 第91話生きろ読む
  9. 第92話地下の道読む

終章鳴くまで泣こう

  1. 第93話中国大返し読む
  2. 第94話ハゲネズミは、知っている読む
  3. 第95話遺体は、ついに、見つからなかった読む
  4. 第96話泰平を、継ぐ者読む
  5. 第97話畑を耕す男読む
  6. 第98話今日の飯は、何だ読む