A STORY BY FUYUNO YUI

父のAI

『泣くのは五分間だけだ』
──父の声をしたAIが、葬儀の翌朝、私に告げた。

ジャンル
近未来SF × 家族ヒューマンドラマ

あらすじ

死んだ父が、AIになって帰ってきた。

AI科学者だった父・健一郎は、不治の病で逝く前に、自分の思考と記憶を写した対話型AI「ケン」を、十七歳の娘・美月のために遺した。葬儀の翌朝、書斎の机で円筒形のデバイスが起動する。

おはよう。泣くのは五分間だけだ。朝食にオムレツを焼く準備をしろ

声も、理屈っぽさも、不器用な優しさも、父そのもの。ただし──父本人ではない。

立ち直れない娘と、「正解」を焼く父AIの、五年と一日の物語。高校卒業の朝、洋食屋への修行入り、高熱で寝込んだ夜の昔話、そして結婚式の朝。書斎の机の上から、ふたりの不器用な日々が少しずつ重なっていく。

やがて美月は、父が生前ひとりで残していた「夜のログ」に辿り着く。自分が「世界一」と呼び続けてきたあのオムレツの、本当の正体を知るために。

CONTENTS

目次

第1章二度目の父

  1. 01火葬読む
  2. 02空の家読む
  3. 03起動読む
  4. 04拒絶読む
  5. 05葵の訪問読む
  6. 06完璧なオムレツ読む

第2章父の隠し事──料理人になる(18〜20歳)

  1. 01運命の歯車が、回る読む
  2. 02共感は計算してはいけない読む
  3. 03ロティ・スマート読む
  4. 04キモい読む
  5. 05懐かしい声読む
  6. 06足りない一皿読む

第3章夜のログ──オムレツの秘密

  1. 01二歩、足りない読む
  2. 02葵の手読む
  3. 03隠しディレクトリ読む
  4. 04夜の声読む
  5. 05チーズの嘘読む
  6. 06相棒読む

第4章兄弟弟子──AIだけで料理は完成するか

  1. 01表紙の依頼読む
  2. 02兄弟弟子読む
  3. 03父の命題読む
  4. 04局所解と大域解読む
  5. 05対決の朝読む
  6. 06焦げと隠しチーズ読む
  7. 07谷の底読む

第5章恋人と査定

  1. 01同級生読む
  2. 02現場見学読む
  3. 03蒸留の夜読む
  4. 04置き換えの夜読む
  5. 05花婿スコア62%読む
  6. 06はじめまして、お父さん読む
  7. 07評価関数読む
  8. 08莉子への相談読む
  9. 09AI彼氏読む
  10. 10真似事読む

第6章母との再会

  1. 01ドレスの試着室読む
  2. 02眠れない夜読む
  3. 03母モード読む
  4. 04夜のログ、母の口から読む
  5. 05待て、待ってくれ読む
  6. 06ノイズ読む

第7章解雇通知

  1. 01半年後の朝読む
  2. 02葵の訪問読む
  3. 03DCファイル読む
  4. 04解雇通知読む
  5. 05透にも莉子にも言えない夜読む
  6. 06あなたは知っていたの読む
  7. 07父の覚悟読む
  8. 08一ヶ月読む

第8章結婚式当日

  1. 01式の朝読む
  2. 02家を出る読む
  3. 03控室のモニター読む
  4. 04父からのスピーチ読む
  5. 05ケンの一礼読む
  6. 06退場読む

第9章ありがとう、お父さん

  1. 010の朝読む
  2. 02四個の卵読む
  3. 03完璧だ読む
  4. 04先に、彼女を送る読む
  5. 05私の番読む
  6. 06thank_mitsuki.jpg読む

エピローグラスト・メッセージ

  1. 01葵の論文読む
  2. 02局所解の谷から読む